中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格です。中小企業支援法において、経営コンサルタントとして十分な能力を有し、中小企業の支援を行う者と位置付けられています。
中小企業診断士試験は年々受験者数が増えており、人気の資格と言えます。
受験・合格することにより、企業の経営に関わる知識を横断的に身につけることができたり、経営コンサルタントとして独立できたりといった様々なメリットがあります。
本記事では、私が中小企業診断士試験を受け、合格するまでに行った対策や体験をレポートしたいと思います。
受験対策のステップ
まず、受験勉強を始めるにあたり行なったことは、以下のようになります。
- 中小企業診断士や試験について知る
- 対策方法を考える
- 対策サービスを選ぶ
- 学習スケジュールを決める
- 勉強する
- 受験する
各ステップごとに解説していきます。
1. 中小企業診断士や試験について知る
受験資格
中小企業診断士試験には受験資格はありません。誰でもチャレンジできます。
難易度
他の試験と比較して、中小企業診断士試験はどれだけ難しいのでしょうか?
勉強時間と合格率を比較してみましょう。
資格 | 勉強時間(目安) | 合格率 |
---|---|---|
中小企業診断士 | 1,000時間 | 4〜6% |
公認会計士 | 3,500時間 | 10% |
税理士 | 3,500時間 | 15〜20% |
司法書士 | 3,000時間 | 3~5% |
行政書士 | 600~1,000時間 | 10〜15% |
FP1級 | 600時間 | 7%〜18% |
宅地建物取引士 | 300~400時間 | 15〜18% |
中小企業診断士試験合格に必要な勉強時間の目安は、1000時間となっています。
公認会計士や税理士といった最難関資格よりは少ないものの、他の高難度試験よりも多く、難易度がかなり高い試験だと言えます。
また、合格率は4〜6%とかなり低いです。
理由として、受験資格がなく誰でも受けられることや1次試験と2次試験の両方とも難易度が高いことが考えられます。
これらの数字を見ても中小企業診断士試験はかなり難易度が高く、合格のためには十分な対策が必要であることがわかります。
試験概要
中小企業診断士試験に合格するためには、1次試験、2次筆記試験、2次口述試験の3つの試験に合格する必要があります。
3つの試験の概要は以下のようになります。
それぞれの試験に合格したもののみが次の試験を受験できます。
また1つ注意しなければいけないのは、1次試験合格の有効期間です。1次試験合格の有効期間は、合格したその年とその翌年度の2年間だけです。
2次試験にその期間に合格できなければ、また1次試験から受け直す必要があります。
2. 対策方法を決める
試験の概要を知ったところで、中小企業診断士試験の勉強方法を決めます。
勉強方法としては、以下の3つが考えられます。
- 書籍などを利用して独学する
- 通信講座を受講する
- 予備校に通う
主観ですが、いろいろ調べたり体験したりして各対策を比較すると、
対策方法 | サポートの充実 | 価格 | 効率 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|
書籍などを利用して独学する | ★ | ★★★★★ | ★ | 時間がたっぷりある |
通信講座を受講する | ★★★ | ★★★ | ★★★★ | 効率的にコスパ良く合格したい |
予備校に通う | ★★★★ | ★ | ★★★★★ | 確実に合格したい やることを自分で考えたくない |
のような感じかなと思っています。
私は、仕事の傍ら勉強しなければならなかったので、
ある程度やるべきことがまとまっていて効率的に勉強でき、かつできるだけ安く対策できる方法として、「通信講座を受講する」ことを選択しました。
以下では、おすすめの通信講座を紹介します。
3. 対策サービスを選ぶ
私が選んだ対策サービスは、スタディングというサービスです。
選んだ理由はズバリ、サービス・講座の内容と価格です。
それぞれについて簡単に紹介していきます。
スタディングの講座・サービス内容
おすすめの理由の1つは、スタディングではコースが豊富にあることです。
1次試験・2次試験の対策を完全に網羅したコースから1次試験の科目別のコースまで、様々な種類のコースが用意されています。
1から試験合格を目指す場合には、1次試験と2次試験を網羅した、1次2次合格コースがおすすめです。
1次2次合格コースの各プランの講座内容は以下の通りです。
このように1次2次合格コースの講座内容がとても充実していることがスタディングをおすすめする最大の理由です。
中小企業試験の概要や勉強方法といった前提知識の講義から、1次試験の各科目のテキストと講義、過去問対策、2次試験の問題集・解説と解答まで、これさえあれば十分合格できる内容が揃っています。
以下の章(リンク入れる)では、これらの講座内容をどのように進めて合格できたかを紹介します。
また、講座内容を確かめるためには、まずは無料体験から始めるのが良いでしょう。
私も、対策サービスを選ぶにあたり、様々なサービスの無料体験に申し込み、その中でも一番内容が充実していたスタディングに決めました。
スタディングの講座の価格
スタディングの講座の価格は他のサービスと比較しても最安です。
まず、普通に定価が安いです。
1次試験と2次試験を網羅した1次2次合格コースの価格は48,400円からとなっており、この時点で他のオンライン講座サービスよりも格安になっています。
さらに、スタディングでは頻繁にキャンペーンを行なっており、割引クーポンが使えます。キャンペーンのタイミングを見計らってお得に割引を受けるのも良いでしょう。
最後に、なんと合格すると10000円のキャッシュバックを受けられるのです!
私はこれらを組み合わせ、実質3万円台で受講できました。なんとコスパが良いのでしょう。。
おすすめの対策本をご紹介
いや私は課金せずに独学でやってやる!という方もいらっしゃると思います。
そういう方におすすめなのが、速修テキストシリーズです。1科目ごとに1冊でまとまっています。
中小企業診断士 速修テキスト<1> 経済学・経済政策 2024年版 (TBC中小企業診断士試験シリーズ) [ 山口 正浩 ] |
図が多くてわかりやすいことに加え、重要度の記載や単元の内容ごとに全体のどの部分を学習しているのかがマッピングされているといった工夫により、復習や苦手克服といった用途に応じた学習計画を効率よく立て、実施できます。
自律した学習が得意な方にはうってつけのシリーズでしょう。
また、テキストでの学習と同時に過去問演習をすることも学習効果を高める上で不可欠です。
過去問演習におすすめの対策本が、過去問完全マスターシリーズです。
過去10年分の過去問をポイント別にまとめて演習できるため、テキストとの整合を取りやすく、学習計画立てや復習がとてもしやすいです。
中小企業診断士は範囲がかなり広いため、全ての試験範囲を完璧にこなすのはかなり難しいでしょう。効率的に合格するためには「試験に出るポイント」を重点的に勉強することが重要です。
独学ではその「試験に出るポイント」がわかりにくいのが難点ですが、これらの対策本をうまく活用することで十分対策可能です。
4. 学習スケジュールを決める
対策方法が固まったら、学習のスケジュールを考えます。
1次試験対策の学習スケジュール
受験科目を確認する
1次試験対策のスケジュールを決めるために、まず自分の受験科目を確認しましょう。
というのも、基本7科目受験する必要があるのですが、すでに所得している他の資格によっては免除になる科目もあるからです。
税理士や公認会計士、情報処理技術者試験合格者などが対象になっています。
中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除から確認できますので、ご自身の取得資格が当てはまるかどうかチェックしてみてください。
全体スケジュールを決める
受ける科目を把握したら、まずは大枠のスケジュールを決めましょう。
スタディングの場合、講義の視聴による学習がメインになります。
1科目につきだいたい10単元、各単元に平均4分ほどの講義動画がだいたい10〜15本ほどあります。
つまり、講義動画視聴だけで 10科目×4分×15本=600分=10時間 はかかります。
問題演習に使う時間を考慮しても、1科目2週あまりでやりきりたいところです。
そうすると、7科目を一通り学習し切るのにだいたい4ヶ月ほどかかるでしょう。
最後の1ヶ月は過去問演習を集中して行うとすると、以下のようなスケジュールが一つ考えられます。
半年は学習期間を確保しておいた方が良いでしょう。
もちろん、もっと演習期間を取りたい人は、より早めに学習を始めたり動画の再生速度を早めて講義学習サイクルを早めたりといったこともできるでしょう。
学習する科目の順番を決める
次に学習していく科目の順番を決めます。
「え、そんなのなんでも良いのでは?」と思うかもしれませんが、実は結構大事なんです。
特に、1次試験と2次試験を同じ年度に受ける場合はちゃんと考えておく必要があります。
というのも、2次試験に関係がある科目とほとんど関係がない科目があるからなのです。
1次試験の後に2次試験の勉強をスムーズに進めていくためには、2次試験に出る科目をできるだけ1次試験の勉強期間の最後の方で学習した方がよいでしょう。
では、2次試験に関係がある科目とはどれでしょうか。
それは、財務・会計、企業経営理論、運営管理の3科目です。
逆に言えば、その他の経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策の4科目の内容は、2次試験にほぼ関係ありません。
これを考慮して、以下のようにスケジュールを立てるのも一案です。
私もだいたいこのようなスケジュールで臨みました。
5. 勉強する
スケジュールが立ったら、あとは勉強するのみです。
勉強する上で大事なのは、とにかく問題を解きまくることです。
まずは講義やテキストで学習しますが、各単元ごとに学習後、おさらいとしてその単元の過去問を解いてみましょう。
このように学習+演習のサイクルを細かく回すことで、短期間で脳に定着させられると同時に試験問題にも練れることができます。
演習には、スタディングならスマート問題集、対策本なら過去問完全マスターシリーズを使うのがよいでしょう。
また、ただ解くだけではなく、間違えた問題にはマークをつけておいて何度も解き直すことが重要です。スタディングのスマート問題集にはその機能がありとても重宝しました。
6. 受験する
試験は、毎年8月上旬の土日の2日間で行われます。
試験スケジュールは例年同じで、下表のようになっています。
日程 | 試験時間 | 科目 | 配点 |
---|---|---|---|
1日目 | 9:50 〜 10:50 (60分) | 経済学・経済政策 | 100点 |
11:30 〜 12:30 (60分) | 財務・会計 | 100点 | |
13:30 〜 15:00 (90分) | 企業経営理論 | 100点 | |
15:40 〜 17:10 (90分) | 運営管理 | 100点 | |
2日目 | 9:50 〜 10:50 (60分) | 経営法務 | 100点 |
11:30 〜 12:30 (60分) | 経営情報システム | 100点 | |
13:30 〜 15:00 (90分) | 中小企業経営・政策 | 100点 |
1科目は60分か90分とそこまで長くはないですが、7科目を2日間に分けて受験するためかなりの気力・体力・精神力が必要になります。万全のコンディションで臨みましょう。
2次試験対策
1次試験が終わると、休む間もなく2次試験対策をする必要があります。
そしてこの2次試験ですが、1次試験とは全く違う対策をする必要があります。
2次試験対策のノウハウは、次回の記事でご紹介したいと思います。
まとめ
ここまで中小企業診断士試験の概要や対策方法を紹介してきました。
受けてみて思ったことは、もちろん試験に受かることが一番の目的であり大事なことですが、試験対策の中で学んだことが実生活や仕事でだいぶ使えるし役に立っているなということです。
自分の会社の経営計画の意図や問題点が見えてきたり、ビジネスニュースからいろいろな示唆を得たりなど、今までにない観点で社会を見ることができるようになります。
社会人・ビジネスマンとして活躍するために、中小企業診断士資格の取得を是非検討してみてはいかがでしょうか。
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